| | 今回は商品の形態について法律上どの程度独占権を与えられているかをみることにします。
商品の形態について独占権を与える最も代表的な制度は意匠権です。しかし意匠権を取得するには意匠登録が必要です。意匠登録がない場合には使えません。のみならず仮に意匠権があったとしても実際に自己が販売している商品と自己の意匠権の内容が食い違ってしまっている場合は意匠権を使うことはできません。それでは他にどういう手立てがあるでしょうか。それが不正競争防止法です。2条1項1号と2条1項3号の2つの条文が商品形態に独占権を与える道を開いています。
1 不正競争防止法2条1項1号(周知商品等表示の使用) 2条1項1号は「他人の商品等表示(人の業務に係る氏名、商号、商標、標章、商品の容器若しくは包装その他の商品又は営業を表示するもの)として需要者の間に広く認識されているものと同一類似の商品等表示を使用等して、他人の商品又は営業と混同を生じさせる行為」を不正競争行為としています。ここでは商品の容器も商品を表わすものとして例示されていますが、商品そのものの形態も商品を表わす表示にあたる場合があります。
それではまず最高裁HPの裁判例をいくつかの角度から分析してみましょう。 「原告被告いずれが勝ったか、原告が敗訴した場合はどの要件をみたなさないとされたのか」という角度からの分析
原告勝訴 ・ランダムプリーツ事件(東京地裁平成11年6月29日判決) 原告敗訴 「原告主張の商品の形態が商品等表示にあたらない」
・パイプジョイント事件(東京地裁平成14年1月30日判決)
・車椅子事件(名古屋地裁平成12年8月9日判決) ・脱臭剤容器事件(大阪地裁平成6年7月19日判決) ・ゲームコントローラー事件(大阪地裁平成9年7月17日判決)
「商品の形態が商品等表示にあたるとしても周知でない(需要者の間で広く認識されていない)」 ・携帯用定容積比率混合容器事件(大阪地裁平成12年6月29日判決)
「商品の形態が類似しない」 ・ルービックキューブ事件(東京地裁平成12年10月31日判決) 「原告の商品と被告の商品が混同を生じているとはいえない」
・ルービックキューブ事件 ・コンベア−ライン事件(名古屋地裁平成11年11月17日判決) 要件の細かい検討は後ですることにして「原告が不正競争防止法2条1項1号以外に他の知的財産権侵害の主張をしたか」という角度からも分析してみましょう。
意匠権侵害
・脱臭剤容器事件 結論 類似しない コメント 意匠権侵害で勝てない(非類似)ケースは不正競争防止法2条1項1号でも勝てない(非類似)と思われる(但し先にみたようにこの判決は非類似以前に商品形態が商品等表示にあたらないとしている)。ただ先にみたように意匠権の内容と原告商品の形態は必ずしも一致はしないので、意匠権侵害ではないが不正競争行為にあたるということはありうる。
商標権侵害 ・ルービックキューブ事件 結論 商標権侵害にあたる
コメント 2つの商品について商標は類似しているが形態は類似していないというのは何ら矛盾ではない 著作権侵害
・ゲームコントローラー事件 ゲームソフト(映画)の著作権(上映権)侵害かが問題となった 結論 上映行為とはいえない 特許権・実用新案権侵害
・携帯用定容積比率混合容器事件 ・車椅子事件 結論 侵害にあたらない コメント 特許、実用新案の権利範囲はクレームに規定されクレームで形状を限定した場合は侵害にあたらないことが多い。そういう場合に不正競争防止法でいくことが考えられるが周知性の要件が大きな壁になる。後述の形態模倣の場合は周知性は不要だが実質的同一性がなかったり通常有する形態だったりで認められないことが多いであろう |