民事再生、債務整理、自己破産の加藤法律特許事務所自己破産・民事再生・債務整理

法律情報コンテンツ
自己破産・民事再生・債務整理
個人の方法人の方
著作権その他の知的財産権
その他の法律問題

法律相談受付
自己破産・民事再生・債務整理
離婚
その他

インフォメーション
事務所案内
プロフィール
顧問契約案内
リンク集
サイトマップ

自己破産のことなら
加藤法律特許事務所
トップページ

 

破産管財事件の変容

 

(1)「少額」管財とは何か

 ごく最近の傾向ですが、東京地裁管内の破産処理は大きく変わっております。それは少額管財事件の増加です。少額管財事件の名前の由来は最低予納金が「少額」というところから来ています(ちなみに最低予納金は20万円です)。負債額が少額というわけではありません。負債額が1億円以上でも少額管財事件になることは全く珍しくありません。少額管財事件は平成11年にスタートしました。当初は少額管財事件の管財人に選任された弁護士にも戸惑いがありました。何となく若手弁護士がはじめて管財人として選任されて担当する、クレサラ破産に毛が生えた程度の管財事件というイメージがあったからです。しかし現在は法人の自己破産、個人の自己破産両方に広く使われる制度となりました。むしろ原則少額管財という感じです。なお少額管財は弁護士が代理人となって破産申立てをしているケースに限って認められます。本人申し立ての場合には通常の管財事件となるわけです。このように弁護士が代理している場合につき一定のメリット、インセンティブを与えるという発想は弁護士が多い東京ならではのものといえるかもしれません。
 

 

(2)法人の自己破産−通常管財時代

 法人の自己破産についていうと以前はまず例外なく通常の管財事件となっていました。この場合は破産になると破産管財人が選任され、1年以上時間をかけて法人の財産を換価処分しその結果得られた金銭を債権者に配当していました。

「費用がかかった」
 破産の際に裁判所に納める予納金の額は負債総額によって決まっており数百万円かかるのが普通でした。ですから自己破産するには弁護士費用含めて1000万円程度はみておかなければならなかったといえるでしょう。そんなお金がない場合には法人については破産せずに放置する、あるいはせいぜい代表者個人のみ自己破産にする(代表者個人だけであれば予納金は高くなかった)というケースが非常に多かったといえます。
 

 

(3)法人の自己破産−少額管財の今

「時間がかからなくなった」
 ところが最近は法人の自己破産は原則として少額管財事件として扱われるようになりました。これはどういうものかというと破産管財人が選ばれる点は通常管財事件と同じですが、破産終結までの期間が短い。破産申立てから3ヶ月程度で第1回の債権者集会が開かれるのですが、基本的にはそれまでに財産の換価処分を完了させます。そのうえで配当を行い破産手続は終結します。もっとも通常の管財事件も債権者集会自体は3ヶ月後に開かれていました。しかしそれはそれで終わりというのではなく、中間報告というか破産終結までの通過点という色彩が強かった。第1回債権者集会が終わった後、破産管財人は引続き換価処分を進めそれが完了した時点ではじめて裁判所にその旨報告し、最後の債権者集会の日時を決めていたのです(破産管財人の中には途中で燃え尽きて?換価処分がいつまでたっても終わらないケースも散見されました)。ところが少額管財の場合はそもそも3ヶ月程度で換価処分を終了させるという前提で始まります。最初の債権者集会の時点で換価処分が終わらなかった場合には1ヶ月程度期日を後にずらしてそれまでにすべて終わらせることになっています。従って破産管財人も自分のペースで財産換価を進めるということはできないといえます。その意味で破産終結までのスピードがあがっています。また配当も早くなっています。通常管財では各債権者に対する配当額が決まってもそこから先が長かった。すなわち官報に配当の公告を出してから配当を行うなど非常に気長にやっていたので実際の配当まで非常に時間がかかったのです。ところが少額管財ではあなたにいくら配当しますという通知を直接各債権者に出して特に異議がなければいいことになったので配当のスピードも上がっています。

「費用もかからなくなった」
 さらに先に述べたように費用についても予納金が大幅に安くなっております。基本的には20万円を納めればいいということになっています。あとは破産管財人が換価処分して財産を増やしていくということになります。こうなると弁護士費用を含めても100万円少しで法人の自己破産ができるようになったといえます。
 

 

(4)法人の少額管財の類型

 もともと法人の自己破産の少額管財は個人企業に近いような法人である場合とかほとんど資産のない法人の場合に利用されてきました。すなわち法人といっても実体は個人企業に近いような場合に代表者が自己破産するのに併せて法人も自己破産で処理する、これが法人併存型と呼ばれる類型です。もう1つは法人の資産がほとんどない場合に法人だけを自己破産にする、これが法人単独型と呼ばれる類型です。この他に最近特徴的な類型として、法人の資産があっても3、4ヶ月で換価処分が終わることが期待できる場合を少額管財で処理するというのがあります。この類型が非常に増えてきています。売掛金の回収がかなり残っているので通常管財かなと思ってそれなりの予納金を用意して裁判所にもっていくと、少額管財でいけるということになり予納金が大幅に軽減されるという感じです。
 

 

(5)通常管財になるケース

 なお以上述べてきたように東京地裁では法人の自己破産は通常は少額管財となりますが非常に規模が大きい破産の場合は従来通り通常の管財事件となります。
 

 

(6)個人の自己破産における「即日面接」

「同時廃止と異時廃止」
 今のは法人の自己破産ですが個人の自己破産も変わってきております。先ほどから破産の場合には財産を換価処分して配当するというような話をしてきましたが、破産事件の多くは配当がなく終わります。これを「破産廃止」といいます。そしてこの破産廃止には同時廃止と異時廃止があります。いずれも配当はないわけですが、破産管財人がついて財産の換価処分をしたうえでやはり配当なしとして廃止にするのが異時廃止、換価すべき財産が全くないのでそもそも破産管財人を選ぶまでもなくすぐに廃止終結にするのは同時廃止です。

「即日面接で何が変わったか」
 さて東京地裁では少し前から同時廃止事件の手続を簡素化しました。どのように簡素化したかというと破産宣告までの時間をスピードアップしました。本来破産の申し立てをしただけで即破産宣告になるわけではありません。破産宣告とは支払いができない状態であることを裁判所が宣告するということですから、裁判官が破産申立書類を読んでさらに破産者から事情を聞いたうえでないと破産宣告は出せないわけです。ですから申立てと破産宣告の間には少し間が必要ですが、弁護士がついている場合に限り、申立ての日(正確には3日以内ですが)に弁護士だけが裁判官と面接しその結果によりその日のうちに破産宣告を出す制度を導入しました。これを「即日面接」といいます。ちなみに以前は申立てから1か月程度してから破産者本人と弁護士を裁判所に呼んで根堀り葉堀りきいたうえで破産宣告にしていました。なぜこのように破産宣告をスピードアップしたかというと破産宣告にならないと強制執行などがとまらないからです。特に給料を差押えられているような場合は一刻も早く破産宣告をとって差押えを取り消す必要があります。差押えを取消しにできれば給料全額をもらうことができます。ところが破産宣告が遅れ、債権者が給料差押に基づいて会社から給料を取り立ててしまった後に破産宣告を得ても債権者から給料を取り戻すことは困難です(なお給料差押については破産宣告を急いでも破産宣告と同時に破産終結にしてしまったのではその後免責までの間に差押が可能という判決が出たことから、破産終結だけ後にずらす、その間破産管財人をはさむという手法が開発され、少額管財導入の大きな動機付けとなりました)。
 

 

(7)個人の自己破産についての少額管財

 このように東京地裁は個人の自己破産の手間を省くサービスを進めたわけです。一方で、最近の傾向ですが、間口を広げて破産手続のユーザーを増やす一方で少額管財で扱うケースをなるべく増やそうという流れになっています。先ほど申しましたように同時廃止というのは全く財産がない、破産管財人を選んでも意味がないような場合です。裏を返せば少しは財産がある場合は破産管財人に財産を換価処分させる意味はあるわけです。ではどの程度財産がある場合が破産管財人選任になるかというと20万円です。預金でも保険解約返戻金でもとにかく20万円あれば破産管財人選任の少額管財にするというのが最近の流れです。退職金についても破産申立て時点で退職したと仮定した場合の退職金見込額の8分の1が20万円をこえればこれにあたります。すなわち退職金見込額が160万円をこえれば少額管財となります。不動産がある場合は仮にオーバーローンでも少額管財となります。こうしてみると資産が20万円もないという場合は決して多くないのではないかと思います。少額管財が出来る前はこういった若干財産があるケースは、同時廃止とはできないので原則通り通常管財にするか(予納金が50万円程度かかる)、無理に同時廃止にしたうえ破産者が一定金額を自主的に配当していました。しかし現在は20万円の予納金を納めたうえで少額管財にしています。その意味で同時廃止、即日面接のつもりで裁判所に持っていっても少額管財に回されることはあるわけです。また最近は財産が20万円なくても収入に見合わない買い物をするなど浪費傾向が見られる場合は少額管財に回すケースがあります。破産というのと免責というのは別物です。払いきれない負債を抱えればそれで「破産」ですがその負債がチャラになる(「免責」)とは限りません。特に浪費傾向にある場合は破産にはなっても免責にはならない場合があります。この免責にしていいどうかを破産管財人に調査させるわけです。このように免責にしていいかの調査まで少額管財に組み入れるということになると近い将来破産事件の相当多くが少額管財になる気がします。

個人の方向け目次へ戻る
法人の方向け目次へ戻る


Copyright (C) 2000-2008 Sadaharu Kato All Rights Reserved.